分光測定というと、机の上を占拠する自記分光光度計を使うか、分光器やら光源やらを組み合わせるのが普通だったのだけれども、ファイバー入力でUSB接続可能なポリクロメータが出現して大きく様変わりした。大きさ的には、一家に一台あっても邪魔にならない位なんだけれども、値段的には一家に一台とはならないような価格なので、さすがにふらふらと買い込めず、このブログでも回折格子フィルムとデジタルカメラの組み合わせでの分光器を作ってみたりしていた。
数日前、何かの弾みで
ディスプレイのスペクトル計測の頁に行き着き、そこで使われている分光器のメーカーである
楢ノ木技研さんのWebをのぞいてみたら、入門クラスの一眼デジタルカメラ程度で買える分光器を売っている。
さすがに、ファイバー入力の分光器が2000から4000チャンネルあるのに対して、256チャンネルで、分解能もそれなりだけれども、一家に一台の分光器としては十分な性能を持っている。最初に見たサイトには、すぐに売り切れになるようなことが書いてあったのだけれど、そんな様子もなく、普通に売っていたので、気軽に一台発注してみた。その後、品切れになっているので、危ないところではあった。
ezSpectra 815Vは基板の上に実装されているだけなので、取り扱いに注意が必要。そこで、一緒にezSpectra 815V用簡易ケースも注文している。ケースにくるまない写真は楢ノ木技研さんのWebにもあるので、ここでは、ケースに収めた様子。
銀色のところの真中が受光窓。横からだと
と、なかなかにコンパクト。簡易ケースは側面はあいているので、毎度おなじみのmtテープを貼って側面は塞いでいる。
接続はμUSBのAタイプ。
やってきて数日遊んだ範囲で、ディスプレイ画面や、LED電球のスペクトルや演色性を評価するにはこのままで十二分の性能。でも、顕微鏡に取り付けて顕微分光をしたり、あるいは、簡易な透過スペクトル測定装置なんかにするのには、癖を理解して最適化する必要がある。たとえば、「ディスプレイのスペクトル計測」記事の白熱電球と太陽のスペクトルは紫外に迷光がのっているし、長波長側に機器由来の振動構造が生じており、その低減が分光測定には重要だ。
このユニット、発売から1年以上たっているのだけれど、Web上の情報が多くはない。価格と性能を考えると、高校なんかの課題研究の道具としてもすごく使える気がする。ので、不定期連載で、取り上げていくつもりでいる。
※このシリーズ、プロジェクトTタグをつけることにしました。