260nm鋭敏色板(超鋭敏色法)

大昔の応用物理学会誌に日本光学の上野正さんによる「偏光板を使用した偏光顕微鏡」という記事がある。ニコンのPOHに関する話なのだけれど、その中で対物レンズの歪みについては久保田廣さんの開発した超鋭敏色法を用いてチェックしている旨の記述があった。
鋭敏色といえば、通常は530nmの位相差板による赤紫が、わずかな位相差の変化により色調変化を起こす手法だけれども、それに超が着くのはどのような方法かと興味をもって、久保田さんの論文を探してみた。
さて、その方法は、通常の鋭敏色板の半分の位相差の265nmの検板を用いるという手法。もっとも、この検板をクロスニコルの間に入れても、弱い黄色系の着色で、位相差変化による色調変化は少なくて、全然鋭敏ではない。ところが、クロスニコルだった状態を平行ニコルにすると、赤紫の偏光色が現れる。265nmの位相板を平行ニコルに挟むと、265nmの倍の530nmのところが透過率0となって、クロスニコルに530nmの位相差板を挟んだときと類似のスペクトルになるというわけだ。
これだけだと、感度は同じになりそうだけれど、これに、たとえば10nmの余計な位相差が加わった状態を考えると、530nmの位相差板では540(520)nmの偏光色になる。これに対して、265nmの位相差板は275(255)nm板になるけれど、この時に、透過光が0になる波長は、それぞれの倍の550(510)nmとなり、普通の鋭敏色板より色調変化が大きくなる。
これは面白いと試したくなったのだけれど、問題は265nmの位相差板の入手方法。
この波長の位相板、正確には266nmの位相差板だけれど、実は世間では普通に売っている。Nd:YAGレーザーという、波長が1064nmのレーザー用のλ/4板、あるいは、その倍波の532nmのグリーンレーザー(緑のレーザーポインターは大体これだ)のλ/2板が転用可能なのだ。ただ、問題は、業務用として使うんだったら問題ない価格でも、趣味として使うには少しばかり高価。頼りのネットオークションはというと、単体で出てくるのは見たことない(どこかの部品に組み込まれているのは、探せばあるかもしれない)。
というわけで、なんとか265nm位相差板を作らなければならない。というわけで思いついたのが雲母の薄板をはぐこと。偏光顕微鏡の検板も雲母を使ったものがあるはずなので、何とかなるだろうと、絶縁体板の雲母板(10枚で100円程度だ。送料の方がはるかに高く付いた)を買い込んではいでみた。
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背景が白なのは、平行ニコルだから。で、鋭敏色周りの黄色から紫を経て青まで見えているけれども、雲母の一枚(だと思う)毎の色調の差がよく見えること……
とりあえず、雲母は断念して、スコッチのクリアテープでやってみるかと思案中。
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by ZAM20F2 | 2018-06-13 08:10 | 顕微系 | Comments(0)
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