ezSpectra 815V とカラーコンパスMF

カラーコンパスがPCFからMFになって、使える測定機になってきた。そこで、改めて、2つの分光器の比較を行ってみたい。

ezSpectraもカラーコンパスも、浜松ホトニクスのマイクロ分光器を使っているが、使用しているモジュールは異なっており、ezSpectraは高ダイナミックレンジのCM12666MA、カラーコンパスは高感度のCM12880MAを使っている。CM12880MAの方はモジュール内部で信号の増幅を行っているようだ。


分光器としての分解能や測定範囲は実質的に同程度と考えてよい。カラーコンパスの方が長波長側は少し伸びているけれども、840nmのLEDの波長確認以外はあまり用途を思いつかない。

浜松ホトニクスのマイクロ分光器は測定範囲外の強い近赤外光が入ると、400nm付近から短波長側にかけて浮きが生じる。カラーコンパスMFでは850nmより長波長をカットするフィルターが取り付けられており、短波長側の浮きは抑制されている。

波長感度構成は、両方とも行われている。ezSpectraの方は、紫外まで出力のある光源を使っており、全波長領域でメーカー校正が行われているが、カラーコンパスの方は、400nm以下の短波長領域に関しては、浜松ホトニクスの代表感度分布で代用している。短波長領域の確認はしていないが、豆電球のスペクトルを測定した限りでは、両者は問題のない範囲で一致した結果を与えると思う。なお、カラーコンパスは、補正していない生のデータを測定する機能もある。

カラーコンパスの校正は相対値であるのに対して、ezSpectraでは絶対値の校正となっている。このため、ezSpectraでは照度の計測ができる。

付属するソフトウェアはezSpectraの方が親切で多機能である。一方で、透過や反射測定では、参照信号強度が弱い波長は測定されなくなるという親切すぎる部分もある。一方のカラーコンパスは、このような親切さの餅泡はなく、参照信号強度が弱い波長領域ではS/Nの悪いデータが出てくる。

両者ともCSV形式でのスペクトルデータ書き出しができる。ezSpectraでは分光器のピクセルごとのデータがそのまま書き出されるため、波長は小数点を含み間隔も整数値ではない。カラーコンパスは書き出し時に、波長間隔と書き出し範囲を指定できる。カラーコンパスも、内部では非整数値でスペクトルデータを持っているはずなので、何らかの補完操作をして整数値の書き出しを行っているはずだが、どのような演算をしているのかの情報は出されていない。

感度はカラーコンパスの方が2桁から3桁高いように思う。これは、使用している分光ユニットの違いによる。感度が低い一方でezSpectraの方が安定性はよいように感じている。オフセットに関しては、カラーコンパスは自動補正となっている。マニュアルから推測するに、オフセットの主因は、温度依存性のある読み出しや内部バイアスで、いくつかの温度でのオフセット値を持っていて、そのときの温度から使うものを選んでいるようだ(測定時に温度表示もできるので、内部に温度センサーを持っているのは間違いない)。ezSpectraの方は、起動時に、Bad表示がでた場合には、光を入れない状態で、オフセット補正を行う。操作はボタンを押すだけで自動的に行える。

表示モードと情報はezSpectraの方が多い。カラーコンパスでもスペクトル測定後にCIEの色座標を出すモードはあるが、ezSpectraの方は、色座標に加えて、相関色温度、演色性評価指数を表示するモードや、照度と光合成@を表示するモードもある。また透過測定でも透過率に加えて吸光度表示も可能である。

両方を並べて見た感想として、日常レベルの光で演色性も含めた評価をしたいならezSpectraの方が優れており、顕微鏡にくくりつけて分光測定をするような用途に関しては、感度のこともあり、カラーコンパスの方が使い勝手が良さそうだというところだ。顕微鏡にくくりつけての分光測定では、測定領域全体でのS/Nをあげるためには、センサーの生の感度に対して、なるべくふらっとになるように参照光を調整する必要がある。そのためには、生のデータを見られる必要があり、この点でもカラーコンパスの方が優れている。


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by ZAM20F2 | 2018-08-17 08:15 | 科学系 | Comments(0)
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