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驢馬3兄弟

前にも出したことがある伏見康治さんの「驢馬電子」。
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科学知識に連載されたものをまとめたものだ。科学知識はこんな感じの雑誌。
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残念ながら、伏見さんの連成は載っていない号だ。


前にも出した驢馬電子は、戦前の発行だけれど、確認した限りで戦後に2回ほど別の出版社から出ている。
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1つは、中央公論の自然選書版。タイトルは「ろば電子」となっている。そして、もう一つはみすず書房の著作集に収められたもの。
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こちらもタイトルも「ろば電子」だ。

驢馬電子はだいぶ前に買込んだのだけれども、戦後に「自然」に書かれていた解説シリーズが読みたくなって、収録されているのが著作集だけだったので、著作集を丸ごと買い込んだ結果として2冊目がやってきて、持運んで読むのに手頃なのが欲しくなって3冊目がやってきてしまった。

本の表装はなんと言っても「ろば電子」の2冊より「驢馬電子」が気に入っている。
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とても原子物理入門とは思えないユーモラスな光景だ。驢馬電子は、電場によって普通の電子とは逆方向に動くような電子のことなんだけれども、この本で驢馬電子の話が出てくるのは随分と後の方。殆どの頁は驢馬電子以外の話となっている。そういう意味では、「驢馬電子」というタイトルは、なかなかに意表をついたものであるのだけれど、それがタイトルとして使われているのは、その時代には驢馬が身近な存在だったためなのかと思っている。

by ZAM20F2 | 2018-10-13 07:52 | 科学系 | Comments(2)
Commented by Ataron at 2018-10-13 13:18
私は「陽電子」と最初から教えられて、「ロバ電子」という推論→発見初段階の呼び名を知りませんでした。 Wikiをひもとくと、現代の「反物質」を閉じ込める話まで出てきて、久しぶりにワクワクしました。 人の言う事を聞かない「ロバ」という着想が面白いですね。
Commented by ZAM20F2 at 2018-10-16 07:53
> Ataronさん
コメント頂いて、あらためて読み直して、負エネルギー電子の質量が負であることを認識しました。空孔の話は知っていたのですが、その元の負の電子の質量が負になるという認識はきちんと持っていませんでした。
今ですと、半導体の電荷担体としてのホールも空孔になるわけですが、改めて考えると、バンド構造からそのときの電子の有効質量も負だなぁと、目から鱗を落としています。
驢馬についてはジム・ステインメイヤー の「ゾウを消せ」の中で驢馬を消す手品の話があり、驢馬使いがいない状態で驢馬が勝手に動かないようにするのは不可能という事が書かれているので、日常的な感覚として思い通りにならない動物という認識が一般的だったのかもしれません。
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