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イットリウムの謎

伏見さんは驢馬電子の他に、戦前に「図解科学」に、そして戦後に「自然」に原子物理の解説を書いている。図解科学も自然も中央公論の雑誌で、編集者は両方とも小倉真美さんだ。
驢馬電子と光る原子、波打つ電子は単行本として出されているが、自然に掲載された解説は著作集にしか収録されていない。

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というわけで、著作集を買い込んで読んでいたのだけれど、次のところで思わず吹き出してしまった。

「回るはずで実はまわっていないのを止揚したのは弁証法ですか」とイットリウム君がすまして言ったのです。

これだけ見ると何で吹き出したのか分からないと思うけれども、並木美喜雄さんの解説にも
「戦後の科学評論には、哲学またはイデオロギー過剰ともいえる風潮があり、その中で武谷方法論をめぐって激しい論争が続けられていた。伏見先生が知らないはずがない。しかし、今ここでそれを詮索することはやめよう。それに戦前派の先生方は、激しい論争を続けた間柄だったとしても、私たち戦後派にはうかがい知れない友情で結ばれていたようだ-うっかりsたことはいえない。いずれにしても、その風潮の中で、「原子物理シリーズ」は哲学的・イデオロギー的用語を一切使うことなく量子力学の解説を続けてゆく、ただ一つの例外はイットリウム君の発言「回るはずで実は回っていないにを止揚したのは弁証法ですか」であった。何となく面白い。」
とあり、にやっとするところであるのは間違いなさそうだ。吹き出したのは、この解説を読む前なんだけれど、何で反応してしまったかというと、少し前に読んだ本に関係ありそうな話があったためだ。
その本のことは次回に。


by ZAM20F2 | 2018-10-21 07:16 | 文系 | Comments(0)
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