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理科じゃない

学習塾が今月取り上げた問題は、定性的と定量的な表現に関するものだ。
この学習塾、毎月2つの問題を取り上げていて、使っている鉄道会社では、路線毎にどちらかの問題が掲載されているようだ。
今月の理科の問題、見た記憶はあるのだけれども、使っている路線ではもう一つの方の問題にしか行き当たらず写真を撮れていない。学習塾のWebから拾うことも考えたのだけれど、そんなことをすると、警察に踏み込まれかねない世の中、とりあえず画像なしで話を進めようと思う。

今月の問題、定性的表現と定量的表現に関する説明があった後で、例文中から定量的な表現を選べというものだ。説明文での具体的な例としては、「今日は昨日より暑い」というのと「今日は昨日より気温が5℃高い」が示されている。

一般的には定量的な方が定性的な事柄より、物事を正確に表現するものと思われているけれども、中谷宇吉郎が「測定によって得られた数字が、自然の実態を表していないか、あるいは実態のうちごく一部の性質しか表していない場合は、科学的の価値は少ないのである。」と記しているように、数値で表現したからといって情報量が増えたり、正確になったりするとは限らない。
たとえば、上の二つの表現を比べると、定性的な表現からは、季節は冬ではないであろうことが分かるが、定量表現の方では季節はまったく分からない。真冬日でも、前日の気温が-15℃で、今日が-10℃なら上記の定量表現としては成立している。一方、気温が-10℃の日に「昨日より暑い」という表現は、普通は考えられない。こうしてみると、定性的な表現の方が、より多くの情報を含んでいるのだ。

さて、問題文の方はアからオまでの文から定量表現を全て選べというもので、「明日は問題集を20ページ勉強する。」というのと、もう一つが定量表現になっている。

問題のつくりとしては、概念の説明の後で、概念理解を問うており問題としての出来はよく、選別能力もそれなりにあると思う。
でもさ……、これって国語の問題であっても、理科の問題ではない。理科で物事を定量的に扱うのは、自然の実態を理論と照合したり、比較検討できるデータとして抽出するためで、「問題集を20ページ」というのは、問題集のレベルが示されていないため、その意味内容は、問題文中の定性的表現の「明日は問題をいっぱい解く。」に比べて情報量が多いとは言えない。
実際、低レベルの問題集を20頁やるのと、最高難度の問題集を2頁やるのを比較したら、数値上は前者の方がよく勉強していそうだけれども、実際には後者の方が勉強としては時間もかかり深くなるものであったりするだろう。

そう考えると、この問題は、国語の意味では定性と定量を区別できるけれども、科学的な視点からは、どちらが情報をきちんと含んでいるかは定らない内容なのだ。

この問題の解説で塾は、「目標を定めるときやその効果や進捗をはかるとき、評価の基準を明確にしていないと、曖昧でぼやけてしまいます。明確な目標を示すために使われる考え方の一つとして、「定量的・定性的」な考え方があります。」と記している。でもこれは、理科ではなく、施策など社会的な事柄に関わることで、この問題の解説としてはそぐわないように思える。それに社会にしたって、インフレ目標率2%を実現できなかったら辞職するなんて言っていたはずの人が未だに居座っているのを見ると、評価の基準にはならないようにしか思えない。

これ、国語だったら、良い問題だったんだけれどね。


by ZAM20F2 | 2019-04-12 07:46 | 文系 | Comments(0)
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