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この答、理科ではない

今月の学習塾の車内問題、写真を撮ろうかと思っていたら、何故か新聞に広告としても掲載されていた。
問題は、海亀がレジ袋をクラゲと間違えて食べてしまうのを防ぐ方法を尋ねるもの。ただし、レジ袋としては機能することが求められている。
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問題を眺めながら、学習塾の解答は、海亀が消化できる材質の利用程度かなとおもっていたけれども、解答例としてあがっていたのは、
消化可能+水にはとけないけれども、海水に溶ける。
毒のある生物に似た色にして食べないようにする。
という2点。いずれも、私が採点者だったら、低い点をつける内容だ。

どこが気に入らないかというと、きっちりした科学的な知見に基づいていない解答だからだ。まず最初のものに関しては、水に溶けずに海水に溶ける素材があるかという点が引っかかる。私の知識の範囲では、思いつく素材がない。こんな回答でよいなら、「レジ袋としてはちゃんと使えるけれども、使い終ったら消滅する素材を使う」でも立派な回答となる。科学的な根拠がない回答は、道徳授業の回答にはなっても、理科の回答にはならない。それに、そんな素材があったとして、スーパーでネット入のアサリでも買込んで袋に入れたら、大惨事になりそうだ。魚のパックの液体が漏れても危ないかもしれない。実用性にも疑問があるのだ。
2番目の回答は、一見もっともらしいのだけれども、海亀の生態をきちんとしった上でないと、可能であるか判断できないはずだ。海亀が補食しない色の生物がいることが前提なのだけれども、学習塾がそれを知った上で出しているとは思えない。そういう意味では、これも空想科学の回答であって、理科の回答ではない。それに、着色しても、砕片となってしまったら、やっぱり食べそうだ(クラゲの破片と間違えて)。


では、理科的に考えても、大丈夫な回答があるのかと言われると……
コスト的とか他の点ではダメな回答なら無いこともない。
一つは、袋の底部分に比重のかなり高い材料を用いること。条件は、それなりの速度で海中でも沈降すること。底部分としたのは、それなら、袋に空気が入って水中を浮遊する危険性が減らせると考えるため。陸の近郊だと、海底を漂うものをそれでも食べられてしまうかもしれないけれども、大洋を漂うことはないので、海亀に対する安全性は高まるだろうと思う。その分、海底で良からぬ作用をするだろうけれども(でも、それは問題では問題にされていない)。比重を上げるのには、安く済ませるなら、鉛あたりでも練り込んどけばいいけれども、それじゃあ毒性がというのなら、金でも練り込めばよい。もっとも、そうすれば、海に流れることなく、人々が競い合って拾い集めるので、そもそも、ゴミとしての排出が減るというメリットもあるだろう。理科的解答をあきらめて、社会科的解答まで許容するなら、レジ袋の価格を1000円ぐらいにして、レジ袋には1000円と記入して、これを回収場所に持って行けば950円程度のキャッシュバックがあるようにしても良いかもしれない(差額は諸経費のつもり)。話としては、捨てられたレジ袋が海に漂うのを防ぐことなので、回収率を上げるのも一つの方策だ。


もう一つ思いついた答は、クラゲを使ってレジ袋を作ること。これは、材料科学的な観点の解答になる。エチゼンクラゲのような巨大なクラゲを伸せば、それなりのレジ袋になるかもしれない。で、これなら、使い終って、そのまま海に流れて、海水に溶けなくて漂っているところを亀に食べられても大丈夫! エチゼンクラゲ対策にもなるので一石二鳥だ。まあ、この問題を出した学校と、学習塾からは、「ふざけている」といって最低点をつけられそうだけれども。

by ZAM20F2 | 2019-06-05 07:56 | 文系 | Comments(0)
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