内田洋行の英式コンパスは、まだまだ文房具屋の片隅には転がっている品物である。でも、どう考えても、製造はされていないし、突然にブームになって製造再開となることもないと思う。そういう意味では、もはや絶滅に向かって一方通行の途に入った品と言えるだろう。
写真は、内田洋行英式小文廻鉛筆三兄弟。手前から、引針式、抱針式、特製である。目につく最大の違いは、持ち手の形状かもしれない。また、目につきにくいところで、接合部の組み合わせに数が抱針と特製の方が多いといった違いもあるけれど、なんといっても一番の違いは針の固定方法である。
先ずは引針式。針はネジを使ってコンパス本体に引きつけて止めている。針の固定点から、針の先まで距離がありるので、微妙に軸がずれる。
抱針式では、この点、針が先端近いところまで固定されているために、軸のずれが引針式よりは小さくなる。
特製は、引針と同じように本体の方に針を引いているように見えるけれど、針の固定点が先端に近い。また、先端の穴の精度もよく引針にくらべるとずれが生じない作りになっている。
これらは、いずれも製図用コンパスで、これらの代用となる一本コンパスという下位機種も存在していた。