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小角鋭敏色板による低リタデーション試料のコントラスト増強

雲母板を通常の鋭敏色板と超鋭敏色板で比較する画像を載せたエントリーの最後に、普通の鋭敏色板を使って、よりコントラストを高くできる方法が見つかったと記した。それが書いてあったのは、
Journal of Microscopg, Vol. 180. Pt 2. November 1995, pp.127-130, Polarized light microscopy of weakly birefringent biological specimens, R. H. NEWTON. J. P. HAFFEGEE & M. W. HO
という論文で、通常の鋭敏色板を偏光子(検光子)の軸に対して45度ではなく、10度以下程度の角度で入れるとコントラストが良くなるよという内容だった。

通常の偏光顕微鏡では鋭敏色板の軸角度を変えることはできないので、試そうと思ったら、偏光子と検光子の直交状態を保ったまま、いつもの角度から回していく必要がある。というわけで、早速試してみた。試料はネマチック液晶をガラスの上に薄く広げたもの。

まずは、通常のクロスニコル下。
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全体的にくらい。カメラの露光時間をかなり延ばすと
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文様は、よりはっきり見えるようになる。
そして、普通の鋭敏色。
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こちらは、露光が短めの方がコントラストがはっきりするのだけれども、あんまり見やすい状況にはない。
続いて超鋭敏色。
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ここまでの比較だとたしかに超鋭敏色がコントラストが一番付いているように見える。
続いて、小角で鋭敏色板を入れる手法。角度は何種類か試している。
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いずれも、コントラストは段違いに良い。鋭敏色板の軸が偏光子の軸に近いと色調は変らないけれども、透過光量は減って暗くなる。実際、通常の鋭敏色や超鋭敏色に比べると画像は暗くて、カメラの露光時間は延びているのだけれど、コントラストは明確にあがっていて感度はよい。

ついでに、低リタデーションプレートによるコントラスト増強も試みてみた。オリンパスサイトにはブレースケラーがリタデーション測定だけでなく、コントラスト増強にも使えると書いてある。これを試みるには、リタデーションが数十nm程度の位相差板が必要になる。流れとしては、薄く剥いだ雲母板なのだけれど、今回はスコッチクリアテープ1枚を使っている。リタデーションは50nm程度。
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by ZAM20F2 | 2018-09-21 07:04 | 顕微系 | Comments(0)

超鋭敏色法

だいぶ昔に、通常の鋭敏色板(530nm)の半分の位相差の位相差板を平行ニコル間に入れると、普通の鋭敏色と同じ色調になり、微小位相変化に対する感度は普通の鋭敏色より高いという話を書いた。その時には、比較写真を出さなかった気がするので、だいぶ時間が経ってしまったけれど、実例を出そうと思う。

試料として用意したのは雲母板を適当に剥いだもの。端っこのところがそれなりに薄いので、そこに注目して欲しい。軸方位を合わせると、当然のように消光状態となる
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まず、鋭敏色板なしでクロスニコル間の画像。長く見えてるエッジのところに、ちょっとした出っ張りがあるのだけれども、コントラストはあんまりはっきりしていない。
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これに普通の鋭敏色板を入れてみる。すると、確かに長く見えているエッジのところのM型の出っ張りが目に入ってくる。あと、鋭敏色板を入れないと消光状態になる配置で、内部に何か変な方向の切れっ端が存在するのが見えてくる。
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試料を逆方向に回転すると、色調は青色系から暖色系へと変化する。
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続いて、平行ニコルに266nm位相差板を入れたもの。色調変化は普通の鋭敏色板と同じだけれど、確かに色調変化が大きくなって見やすくなっている。ちょっと便利かもしれない。

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※その後、普通の鋭敏色版でコントラストを上げられる方法が見つかってしまっています……

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by ZAM20F2 | 2018-09-12 07:12 | 科学系 | Comments(0)

CマウントにカラーコンパスMFをくくりつける

カラーコンパスMFはCマウントポートがあれば、とりあえずでよいなら簡単に顕微鏡に取り付けられる。
ステップ1 顕微鏡のCマウントに適当なCマウントの部品をねじ込む
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ステップ2 mtテープの内径がCマウント部品の外径とほぼ同じなのを良いことに、上にかぶせる
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ステップ3 カラーコンパスの出っ張りがmtテープの内側に入るのを良いことに、上にのっける。
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ステップ4 落ちないようにテープでとめる
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フランジバックは、幅が15mmのものを使えば、実質問題ないレベルになるだろうと思う。
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by ZAM20F2 | 2018-08-26 08:38 | 科学系 | Comments(0)

カラーコンパスMFでを顕微鏡にくくりつけてみる

顕微鏡のCマウントにつけていたμ4/3カメラを外してカラーコンパスMFをくくりつけてみた。分光器をつける時は、入射スリットを撮像素子の位置に置くのが正しいだろうとは思うけれど、とりあえず、Cマウントのフランジバックは考えずに、外したCマウントにとりあえず、マスキングテープでくくりつけてみた。

分光測定の手順は前のエントリーで示したので今回はデータだけ。
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黒が参照信号で、青が測定したもの。露光時間は3000μ秒(3m秒)で、積算は128回。感度が高いので積算回数を多くしても、測定でいらいらすることはない。

割り算をして参照信号とともにしめすと、
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と、それなりに透過スペクトルが測定出来ている。まあ、450nmより短波長は、LED光源を使っている関係で光が来ていないので、まともなデータではない。でも、ノイズが多く見えないのは、オフセットがあるためだろうと思う。

測定したのは、適当に作った液晶用のセル。波打って見えているのはセルギャップに対応した干渉パターンで、これを使うと、セル厚が測定出来る。
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測定データにあうように、エクセルの上で手動でフィッティングしてみた。このセル、およそ6ミクロンだと思う。
セルが厚くなると周期が短くなっていく。どこまで取れるかは分解能次第なのだけれど、いずれ、それも確認するつもりだ。

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by ZAM20F2 | 2018-08-22 20:53 | 科学系 | Comments(0)

カラーコンパスMFでの透過率測定

カラーコンパスMFを使っての透過率測定をやってみた。測定では、まず光源の測定を行い、続いて測定対象を透過した光を測定する。測定領域全体でS/Nの良いスペクトル測定のためには、可能な限り測定領域で光源のスペクトルがフラットで特に強度が弱い波長が存在しないことが望ましい。

カラーコンパスMFでは波長感度補整が可能だが、透過測定では、このチェックボックスを外しておく必要がある。
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上のスペクトルは感度補正をしたもの。長波長側の強度が強く、実質的に長波長端が最大となっている。チェックボックスを外したスペクトルは次に示すように大きく形が違う。
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補整なしでは670nm付近にピークがあり、長波長側での信号強度が低下する。また、信号強度の最大値が飽和強度より遙かに弱くなっている。露光時間を約3倍にして、全体の信号強度を上げることが出来る。
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カラーコンパスMFの新しいソフトバージョン(8月17日版以降)には、ワンショットの記録機能がある。カラーコンパスMFは、記録保存にチェックボックスを入れないと測定データが保存される形式では保持されず、チェックボックスを入れると、連続で記録されてしまい、どれが必要なデータであるかの見極めが困難になる。この点、記録保存のチェックボックスを入れずにスペクトルを見ながら、必要な時点でワンショットを押すと、その時のデータが記録されるので必要なデータだけを記録できる。なお、8月19日版では、それまでのデータをクリアする機能が付いているので、途中で必要なデータを保存下の地にデータをクリアしておけば、次のcsv保存時に、どこから保存すべきか考えなくても大丈夫になる。

計測方式を光源モードでワンショットで記録した後、透過モードにして、100%透過をクリックすると、表示データはそのときのスペクトルと、100%値で割ったデータとなる。フィルターを何も入れない状態では、ほぼ100%ラインとなっている。
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これにフィルターを入れるとスペクトルが変化して透過率が見える。必要に応じて、ワンショットを押してデータを記録するようになる。
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その後、CSV保存で必要なデータセット(複数が同時に保存出来る)すればよい。なお、透過測定でも、割り算した透過スペクトルデータではなく、生の透過データが記録されている。透過スペクトルを別のソフトでグラフ化するなら、改めて割り算をする必要がある。といっても、スペクトルデータは透過ではなく吸収スペクトルで表記することもあり、また、生データがある方が、ノイズの状況なども判断できるので、これはありがたいことだ。

ezSpectraも透過測定機能はあるが、光源が弱いと測定領域とならない。その点カラーコンパスMFは光源が弱い領域も文句を言わずに測定してくれる。これは、ありがたい反面、注意が必要なこともある。示したスペクトルデータは富士フイルムのSP5というフィルターだが、そのデータシートを見ると400nmより短波長は単調に透過率が減少していく、カラーコンパスMFの測定結果で短波長側で透過率が上昇しているのは、オフセットの補正不足か、あるいは、フィルターで落とし切れていない迷光のためであろうと思う。
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by ZAM20F2 | 2018-08-20 06:56 | 科学系 | Comments(0)

ezSpectra 815V とカラーコンパスMF

カラーコンパスがPCFからMFになって、使える測定機になってきた。そこで、改めて、2つの分光器の比較を行ってみたい。

ezSpectraもカラーコンパスも、浜松ホトニクスのマイクロ分光器を使っているが、使用しているモジュールは異なっており、ezSpectraは高ダイナミックレンジのCM12666MA、カラーコンパスは高感度のCM12880MAを使っている。CM12880MAの方はモジュール内部で信号の増幅を行っているようだ。


分光器としての分解能や測定範囲は実質的に同程度と考えてよい。カラーコンパスの方が長波長側は少し伸びているけれども、840nmのLEDの波長確認以外はあまり用途を思いつかない。

浜松ホトニクスのマイクロ分光器は測定範囲外の強い近赤外光が入ると、400nm付近から短波長側にかけて浮きが生じる。カラーコンパスMFでは850nmより長波長をカットするフィルターが取り付けられており、短波長側の浮きは抑制されている。

波長感度構成は、両方とも行われている。ezSpectraの方は、紫外まで出力のある光源を使っており、全波長領域でメーカー校正が行われているが、カラーコンパスの方は、400nm以下の短波長領域に関しては、浜松ホトニクスの代表感度分布で代用している。短波長領域の確認はしていないが、豆電球のスペクトルを測定した限りでは、両者は問題のない範囲で一致した結果を与えると思う。なお、カラーコンパスは、補正していない生のデータを測定する機能もある。

カラーコンパスの校正は相対値であるのに対して、ezSpectraでは絶対値の校正となっている。このため、ezSpectraでは照度の計測ができる。

付属するソフトウェアはezSpectraの方が親切で多機能である。一方で、透過や反射測定では、参照信号強度が弱い波長は測定されなくなるという親切すぎる部分もある。一方のカラーコンパスは、このような親切さの餅泡はなく、参照信号強度が弱い波長領域ではS/Nの悪いデータが出てくる。

両者ともCSV形式でのスペクトルデータ書き出しができる。ezSpectraでは分光器のピクセルごとのデータがそのまま書き出されるため、波長は小数点を含み間隔も整数値ではない。カラーコンパスは書き出し時に、波長間隔と書き出し範囲を指定できる。カラーコンパスも、内部では非整数値でスペクトルデータを持っているはずなので、何らかの補完操作をして整数値の書き出しを行っているはずだが、どのような演算をしているのかの情報は出されていない。

感度はカラーコンパスの方が2桁から3桁高いように思う。これは、使用している分光ユニットの違いによる。感度が低い一方でezSpectraの方が安定性はよいように感じている。オフセットに関しては、カラーコンパスは自動補正となっている。マニュアルから推測するに、オフセットの主因は、温度依存性のある読み出しや内部バイアスで、いくつかの温度でのオフセット値を持っていて、そのときの温度から使うものを選んでいるようだ(測定時に温度表示もできるので、内部に温度センサーを持っているのは間違いない)。ezSpectraの方は、起動時に、Bad表示がでた場合には、光を入れない状態で、オフセット補正を行う。操作はボタンを押すだけで自動的に行える。

表示モードと情報はezSpectraの方が多い。カラーコンパスでもスペクトル測定後にCIEの色座標を出すモードはあるが、ezSpectraの方は、色座標に加えて、相関色温度、演色性評価指数を表示するモードや、照度と光合成@を表示するモードもある。また透過測定でも透過率に加えて吸光度表示も可能である。

両方を並べて見た感想として、日常レベルの光で演色性も含めた評価をしたいならezSpectraの方が優れており、顕微鏡にくくりつけて分光測定をするような用途に関しては、感度のこともあり、カラーコンパスの方が使い勝手が良さそうだというところだ。顕微鏡にくくりつけての分光測定では、測定領域全体でのS/Nをあげるためには、センサーの生の感度に対して、なるべくふらっとになるように参照光を調整する必要がある。そのためには、生のデータを見られる必要があり、この点でもカラーコンパスの方が優れている。


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by ZAM20F2 | 2018-08-17 08:15 | 科学系 | Comments(0)

カラーコンパスMF

追記:2018/08/17

このエントリーの最後にあるcsvファイルの書き出し方向については、改良されたソフトが公開された模様です。


カラーコンパスはATシステムさんの製品で、浜松ホトニクスのC12880MAを使った可視領域の分光器。メーカーからの購入もできるけれど、今年の2月からカラーコンパスPCFが秋月電子通商で扱っている(しかも、直販より安い)。その後、夏に型番がPCFからMFになり使い勝手が向上している。秋月のWebにはPCFも掲載されているけれども、価格は2000円ほど高いのだけれども、MFを選ぶのがお勧めだ。PCFを既にお持ちの方は、秋月から買った品はメーカーでの有償バージョンアップが可能で、これは、やる価値のあるバージョンアップだ。
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こちらは、PCFのソフトの画面。
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MFのソフトの画面はこちらで、MFの方は、透過や反射測定が整理されて出ていて、使い勝手が良くなっている。というか、PCFの方は、この状態では、ものすごく大きなオフセットが載った画面となっていて、ダークを登録して、それから、表示データを生データではなく、生データからダークを引いた物を選ぶ必要があったのだけれど、そのあたりは、自動でされるようになっている。
分光器のダークというと、露光時間に比例したノイズと、読み出し時のノイズ、そして、回路のオフセットがあると思うのだけれど、マニュアル(これも、MFになって初めて出来た)を読むと、温度毎にダークの値を記録してあるように読めるので、露光時間ではなく、読み出しノイズ等がダークの主因なのだろうなぁと推測している。
MFの方には、波長感度補整の蘭があり、これにチェックを入れると、感度補正したスペクトルが得られる。
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これは、豆電球を測定したものだけれども、そのままだとピークを持つ構造が出てくるのが、補整を入れると、長波長側にめがけて強度が上がっていく、いかにも黒体放射の曲線となる。
感度補正は、ATシステムさんが持っている、波長校正された分光器を基準に行っているらしい。
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こちらは、感度補整したデータだけれど、両者の違いは、黒い方がそのまま、もう一方が拡散板を通しての測定。浜松ホトニクスの分光ユニットは、平行に近い光を入れると、入射方向で微妙にスペクトルが歪む。その影響が出ている。
さて、では、この感度補正がどの程度信用できるかをチェックすべく、ezSpectraで同じ電球を測定してみた。
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ezSpectraの短波長側が上がっているのは近赤外光の影響。カラーコンパスの近赤外カットフィルターの効果が見て取れる。このフィルター、ATシステムさんに分光データが掲載されている。どこのメーカーの品かは書いていないのだけれど、見つけたら、思わず買い込みたいと思えるような、分光分布をしている。
短波長の部分を除けば、両者はほぼ一致していると思って良い。両方とも、可視域の光強度分布は、問題内範囲で測定可能だ。

カラーコンパスはMFになって、特に、ソフトの使い勝手が上がって実用的な道具になったという印象を持っている。現状で、CSVファイルにデータを保存すると、波長毎のデータが行並びになるために、普通のソフトでグラフを描くためには、行と列の入れ替えをする必要があるなど、謎仕様は残っているのだけれども、このあたりはいずれ改良されていくだろうと思う。

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by ZAM20F2 | 2018-08-12 07:56 | 科学系 | Comments(0)

C12666MAとC12800MAの感度を考える

ezSpectraはC12666MAをカラーコンパスPCFはC12880MAを使っている。両者で何が違うのかと言えば、浜松ホトニクスのカタログでは、C12666MAが高ダイナミックレンジ、C12880MAが高感度とされている(それ以外にC12880MAの方が長波長まで測定できるといった違いもある)。C12800MAは内部に増幅器を持っていて信号を増幅しているらしい。ただし、両方の感度に関する情報はなく、どの程度高感度で、どの程度ダイナミックレンジが広いのかはカタログを眺めてもよくわからない。

ところで、そのカタログにある測定出来る入射光量範囲を見てみると、C12880MAが3E×10-14~1×10-6であるのに対して、C12666MAは3.5×10-13~3×10-7となっている。C12880MAの方が測定可能範囲が広いわけで、単純に考えると、C12880MAの方がダイナミックレンジも広いのではないかと思われる状況になっている。
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ただ、カタログを見ると、測定出来る入射光量範囲は、それぞれのデバイスの設定可能な蓄積時間から算出していると記してある。設定可能な蓄積時間は両者で異なるとされているのだけれども、その範囲については明示的には示されていない。

ただ、浜松ホトニクス製の評価ボードのスペックとして、C12666MAに対応するものは5ミリ秒から10秒となっており、C12800MAの方は、0.011ミリ秒から100もしくは1000ミリ秒となっている(カタログにより異なる。単体のカタログは1000ミリ秒になっている。)。他にデータがないので、これを設定可能な蓄積時間として考えることにする。

すると、光量範囲の最大値は、最小蓄積時間、最小値は最大蓄積時間に対応するはずである。そこで、最小と最大を蓄積時間10ミリ秒にした場合にどのような値になるかを計算することにする。このときの最小値は、測定可能な最小電荷で、最大値が飽和電荷になると考えられる。両者の比がダイナミックレンジになるはずだ。

C12666MAの方は、10秒で3.5×10-13なので、10m秒だと3.5×10-10が最小値となる。最大値は5ミリ秒で3×10-7なので、10ミリ秒だと、1.5E×10-7となる。一方のC12800MAは、最大蓄積時間を100ミリ秒とすると、最小値は3×10-13、1000ミリ秒なら3×10-12となる。最大値は、0.011ミリ秒で1×10-6なので、1.1×10-9となる。まとめると、
C12666MA 3.5×10-10~1.5×10-7
C12800MA 3×10-12(3×10-13)~1.1×10-9
となる。最大値と最小値の比をとると、C12666MAは430、C12800MAは370程度となる。なお、C128000MAについては、最大蓄積時間を100ミリ秒とすると、比率は3700になってしまうのだけれど、これは、さすがに値が大きすぎるので、1000ミリ秒を用いた値としている。

この計算にどの程度の正当性があるのか分からないけれども、一応、C12666MAの方が15%程度ダイナミックレンジが広いことになる。高ダイナミックレンジというには、差が少ない気もする。
ただ、前にも記したけれど、C12800MAを使ったカラーコンパスPCFは測定データが揺らぐのだけれども、これはC12800MA本体の特性が絡んでいるようだ。

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by ZAM20F2 | 2018-04-03 07:25 | 科学系 | Comments(0)

カラーコンパスPCFの飽和値について

カラーコンパスPCFは12ビットのA/Dを使っている事になっているが、表示されるグラフの最大値は4100程度であるにも関わらず、各波長の強度データは小数点以下の数値がある。この点は、前に記したように、本来は、整数波長ではない横軸を整数波長毎の値にするときの補間計算により生じた物なのだろうと思える。

ただ、ダークが800程度あるにも関わらず、ダークを引いた値の強度データが3300を平然と超えるのは腑に落ちない点であった。差引き後の値が3300より大きくてもスペクトルが歪まないのなら、信号強度の最大値は4095ではなく、より大きな値でなくてはならないからだ。

そこで、わざと露光時間を長くして、スペクトルの所々が画面を超えるような状況の測定を行った。ダークを引いていないものでは、飽和値は8000程度となっている。一方、ダークを引いたものは、最大値が7200程度で、8000からダークの800程度の値を引いたところで飽和している。
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この結果を見ると、カラーコンパスPCFの飽和レベルは、8000程度であることになるのだけれど、そうなるとA/Dが12ビットであることや、ホワイトの初期値を4095としていることなどとの間に齟齬が生じてしまう。8000までの値を扱うなら13ビット欲しいはずで、それを12ビットで処理していたら、強度は2単位での変化となってしまう。

まあ、分光器の使い勝手としては、フルスケールを超えたとたんに信号が飽和するよりも、ある程度の余裕があった方が有難いのはたしかではある。でも、フルスケールの倍まで余裕があるとなると、少しばかりだまされた気分となる。何しろ、現状では4000を11ビットで扱っていることになるので、最小分解能は1/4000ではなく1/2000とA/Dからの思い込みの半分になってしまっているのだから。




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by ZAM20F2 | 2018-04-01 14:58 | 科学系 | Comments(0)

カラーコンパスPCFの保存ファイルの内容

カラーコンパスの入射光部分には厚さ3mmのプラスチック板が取り付けてある。
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これを外すと分光ユニットが顔を出す。
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周囲の板より0.5mmほど奥まった位置に分光ユニットの前面がある。スリットの位置は分光ユニット前面から2.5mmほど内側らしいので、3mmのプラスチック板と合わせると、6mmほど内側にスリットがあることになる。
厚さ3mmのプラスチック板には半径1.5mmmの穴が開いている。入射スリットは幅があるけれども、とりあえず、穴の中心の一点からで考えると、入射角度は14度ほど、NAは0.24程度となる。ということは、プラスチック板の穴に適当な拡散板を取り付ければ、入射NAは大体確保出来る事になる。

測定データをCSV形式で保存した物の一部を示す。これは、「縦波長」にチェックをいれたもの。チェックを忘れると、横方向に波長が連なったデータファイルとなる。
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不思議なのは、波長が整数単位で1nm刻みになっていること。使っている分光ユニットは340~850nmで288ピクセルなので、おおよそ1.8nm刻み。整数になるわけもないし、整数値の間に測定データがない状況も出現するはず。カラーコンパスが出している測定値は、何らかの補間操作を行ったもので、本当の生データではない。

このデータは、ダークを測定していない状態で書き出したもの。この出力からすると、ダークの初期値は0、ホワイトの初期値は4095となっている。ホワイトの初期値はA/Dが12ビットだからだろうという印象だ。

ダークの測定を行った状態では、ダークに測定値が入る。生データはダークがのった測定値となっている。正規化の値は生データをホワイトで割ったものを2000倍したものだけれども、すごく小さな値となっている。ということは、生データ(とホワイトから)ダークを引いた状態のもので演算をしているようだ。
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ダークを引くにチェックを入れると、保存されるデータはダークを引いた物となる。
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少しばかり不思議なのは、どの段階で差をとっているか。A/Dは12ビットのはずなので、単純には0~4095の値になる。その値で生データやダークを拾ってきて差をとると、ダークが800程度はあるので、最大値でも3200程度にしかならない気がする。でも、差をとる画面では4095までの表示が行われる。ということは、A/Dの前のアナログ状態でオフセットを引いているのかしらとも思うけれども、そうなると、本体のA/Dの前に差分演算があることになるけれども、それは少しばかり考えにくい気がする。何をやっているのだろうか。

なお、ダークの原因としては、読み込み時のオフセットやノイズと、測定時間に比例する成分があるはずかえれども、比例成分は他に比べると影響は小さいようで、測定時間を大幅に変えてもダークレベルは実質的に変わらないようだ。


ダークの測定を行わずにホワイト登録をすると、ダークの値は0のままホワイトに値が入る。この場合、正規化は下駄を履いたデータ同士で行われることになるため、まっとうな比率にはならない。

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ダークとホワイトの両方を測定して、ダークを引く設定をすると、生データとホワイトともダークを引いた値となり、この状態での正規化は正しい透過率となる。
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ダークとホワイトが測定してあっても、ダークを引く設定になっていないと生データもホワイトもダークがのった状況となる。しかし正規化はダークを引いた後に計算しているようで、値としてh正しい物になるようだ。

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このあたり、きちんとした取説が欲しいところだ。

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by ZAM20F2 | 2018-03-28 07:02 | 科学系 | Comments(0)